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強度区分について



「12.9T」とは

小数点の左の数字と右の数字がそれぞれボルトの強さを表している。  左の『 12 』が 「 120 キロまで切れない」 という強さを表している。 これを「最小引張荷重」という。 右の『 9 』が 「120 キロの 9 割 → 108 キロまでは伸びても元に戻る」 という強さを表す。108 キロを超えると伸びきって元には戻らなくなる。 これを「降伏荷重」または「耐力」という。
JIS 規格では、次の10 種類の強度区分が定められてる。
「3.6」
「4.6」 → 40 キロまで切れずに 6 割の 24 キロまで元に戻る
「4.8」
「5.6」
「5.8」
「6.8」
「8.8」 → 80 キロまで切れずに 8 割の 64 キロまで元に戻る
「9.8」
「10.9」 → 100 キロまで切れずに 9 割の 90キロまで元に戻る
「12.9」

(力の単位は、1平方ミリメートルあたり)



「11T」とは

110 キロまで切れないという最小引張荷重だけを表している。
例: 「 8T 」→ 80 キロまで切れない
  「 7T 」→ 70 キロまで切れない
  「 4T 」→ 40 キロまで切れない
11T、8T、7T、4T などの強度区分は「降伏荷重」は表さない。 「 11T 」と「 10.9 」は "0.1 の差" でほとんど同じと誤解されやすいが、実際には引張強さが 110 キロと 100 キロで 10 キロもの差がある。尚、○○T という強度区分は、1999 年 4 月 1 日で廃止となった。



「A2-70」とは

「 A2 」は鋼種区分を示し、「 A 」はオーステナイト( austenite )系ステンレス鋼を表し、「 2 」は化学組成の区分を表す。
「 70 」は強度区分を示している。 最小引張強さを N / mu で表した数字の 1 / 10 の値で、 700N / mu まで切れない。



熱処理

熱処理とは鉄鋼その他の金属に変態点(材質の組織が変化をする温度)以上まで加熱および冷却することにより、所要の性質および状態を付与するために行なう処理の事をいう。 「焼入れ」、「焼なまし」、「焼もどし」などが熱処理の代表的なものである。 高張力ボルト、六角穴付ボルト、セットスクリュー、自動車用特殊鋼ボルト、タッピンねじなどは原則として成形加工後に熱処理を施こすことで、所定の強度と靭性(粘り強さ)等の機械的性質を得る。



「焼き入れ」

「焼き入れ」は鋼を硬化し、または強さを増加するため 730 ℃以上に加熱した後、適切な媒剤中で急速に 250 ℃ まで急冷する操作をいう。 硬く強度が非常に大きくなるが脆いため通常は必ず焼き戻しをする。



「焼きなまし」

「焼きなまし」は鋼を軟らかくし、結晶組織の調整または内部応力の除去の目的のために 730 ℃ 以上に熱くしてから、ごくゆっくり 550 ℃ まで冷却し、そのあとそれ以下の温度までやや速く冷す一連の操作をいう。



「焼き戻し」

「焼き戻し」は鋼を 730 ℃以下に熱くして急冷することをいう。 「焼き戻し」だけというのは殆どなく、「焼き入れ」+「焼き戻し」で処理するのが一般的である。 焼き戻し温度が低いほど鋼は硬くなるが脆くなる。 そのため強度をあまり落とさないで靭性(粘り強さ)を高めるために2種類の焼き戻しがある。
低温焼戻し・・200 ℃ 前後で耐磨耗性を高める
高温焼戻し・・400 〜 600 ℃ で一般には調質と呼ばれる強度と靭性を高める。



「窒化熱処理」

真空炉に窒素を多く含むガス(アンモニアなど)を入れ、約 500 ℃ で 50 〜 72 時間加熱する。 そうすると、表面に窒化層ができる。 窒化層自体が硬いので焼き入れや焼き戻しは不要。 「SUS410」を熱処理するステンレスの中の Cr (クロム)は炭化クロムや窒化クロムに変化して少なくなってしまうので、ステンレスの表面を保護する酸化クロムの膜が十分にできなくなる。 そのため、人工的に不働態化させる必要がある。 この処理を「パシペート」という。



「機械的性質」

金属の機械的性質とは、外力が金属材料に働いた場合の金属の抵抗する強さや硬さの度合をいい、金属材料を使用して加工を行う場合に最も重要視される性質である。 その性質には、「強さ」(引張り強さ、圧縮強さ、せん断強さ)、「展延性」「脆性」(もろさ)、「靭性」(粘り強さ)、「加工硬化」「時効硬化」等が挙げられる。



「許容静荷重」

製品にある荷重が加わっても使用上安全であると保証された最大の荷重(製品の機能を失なわない程度の最も大きな物体に働く外力)を、その製品の許容静荷重という。 許容静荷重は、一般に製品の最大荷重を安全係数で割った値をその製品の許容静荷重としている。



「引張荷重」

軸線に沿って互いに反対方向に作用し、その材料に引張りを与える荷重。



「保証荷重応力」

引張り試験にて求めた降伏点または耐力の約 90% に設定された荷重(保証荷重)をボルト・小ネジにかけ15秒間保持し永久伸びが生じてはならない点の応力。



「引張強さ」

引張強度試験機でボルトの耐えた最大荷重を有効断面積で割った値。 引張強さ = 最大荷重( Pmax ) / 有効断面積( As ) = N / mu ( Kgf / mu )



「靭性(粘り強さ)」

靭性(粘り強さ)とは、金属材料に打撃のような急激な力が掛かる場合に、その力に対して抵抗する強さの事をいう。



「脆性(もろさ)」

脆性(もろさ)とは、金属材料に強さや硬さはあるが伸びや衝撃力に対しての弱さをいう。



「加工硬化」

加工硬化とは、金属材料を冷間加工すると強くなり展延性が減少する事をいう。



「時効硬化」

時効硬化とは、金属材料を低温中に放置しておくと硬くなる現象をいう。



「延性」

金属の延性とは、金属材料を線や棒の様に細く長く引き延ばす事の出来る性質をいい、金属材料が弾性限度を越えた力で破壊される事なく引き延ばされ、塑性的に変形する性質をいう。 金、銀、白金、銅等は金属材料中、最も延性に富む材料である。 一般に合金になると延性は減少する。



「展性」

金属の展性とは、金属材料を板や箔の様に薄く圧延する事の出来る性質をいい、金、アルミニウム、銅等はこの性質が大きい。



「破壊強さ(極限強さ)」

材料試験において、応力を材料の降伏点以上に増していくと、ひずみ硬化によって応力はひずみの増加とともに増し、遂に破壊点に達する。 このようにして、試験片が破壊するまでに現われる公称応力の最大値を破壊強さまたは極限強さという。



「せん断応力」

ボルトの軸に直角方向に荷重をかけてせん断力が作用するときに生じる応力。 これは断面に沿って接線方向に生じるので接線応力とも言う。 一般にせん断強度は引っ張り強さの 60 〜 80% である。



「応力」

材料が外力を受けた時、この外力につり合うように内部に生じる抵抗力を言いい、単位は kg / mu で表す。 外力の種類で引張応力・圧縮応力・曲げ応力・せん断応力がある。



「耐力(下降伏点)」

引張試験でボルトの永久伸びが 0.2% 残るであろうという点の応力を言う。 降伏点に代えて用いられ、ISO 規格では実験的に引張強さの 60 〜 80% ( 3.6 〜 6.8T )・80 〜 90% ( 8.8 〜 12.9T )と便宜上決めている。



「締め付けトルク」

ボルト、ナットの間に部材をはさんで締めた時、仮締から完了まで回す為には力が必要になる。 これがトルクでその時必要な力を締め付けトルクという。 一般に普通のねじは径が大きくなると締め付けに大きな締め付けトルクを必要とするので、テコの原理で手を掛ける位置がネジの中心から離れている方が廻し易いので、スパナの柄の長さはねじ径に応じて長くしてある。 ねじを締め付ける場合のトルク T は、生じる締め付け力 F とねじの直径(呼び径) d の T (単位は N ニュートン) = KdF の関係である。 K はトルク係数と呼ばれるもので、メッキ・油等に関係するが、大体 0.15 - 0.2 のあたりとされている。 理論上、ナットを回してボルトを破断させる荷重は、ボルトを単純に引張って破断させる荷重の 80% 弱とされている。



鋼製ねじの使用温度範囲

鋼製ねじの使用温度範囲はおよそ -50 度 〜 300 度となるが、温度が高くなると引張強度が低下する。 また温度が低くなると引張強度はあまり変化しないが、鋼の衝撃値が低下し、脆くなるので注意が必要である。( JISB1051・1052 - 1991 )


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