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素材について - ステンレス



ステンレス (SUS)

ステンレス( Stainless )とは「ステイン( Stain ) = 汚れ」と「レス( Less ) = 無い」の造語で、「12% 以上の Cr (クロム)を含む鉄の合金鋼」である。 つまり、ほとんど鉄であるので、一見鉄の特性が隠れているが、条件次第で顔を出すことになる。(さびる・磁石につく等。)

<参考>
SUSとは
     tainless
     sed
     teel      の頭文字をとったも。

マルテンサイト系  SUS410 = Cr 13%
フェライト系     SUS430 = Cr 18%
オーステナイト系  SUS304 = Cr 18% + Ni 8%
            SUSXM7 = Cr 18% + Ni 9% + Cu 3%



ステンレスにCr(クロム)が含まれている理由は?

「さびを防ぐ」ためである。
クロムを含有していることにより「さびない鉄」がステンレスである。 しかし、条件次第ではさびてしまうので正確には 「さびにくい鉄」ということになる。 (さびの程度は SUS410 でも鉄の 1/200 )
鉄の「さび」とは、鉄と酸素が結びついて「酸化鉄」が発生することを言う。



Cr(クロム)があるとなぜ「さび」を防ぐのか?

Cr (クロム)は鉄より酸素と結びつきやすいという特徴がある。
鉄に 12% 以上の Cr (クロム)を含ませると、鉄が酸化するよりも先に Cr (クロム)が酸化し、表面全体に酸化クロムの膜ができる。 この膜は無色透明でとても薄い(約 50 Å Å = 1 / 100000000 cm) ので肉眼では識別できない。 この膜は化学的に安定していて (化学変化しにくい)とても強固である。 また、ち密で酸素を通さないので酸化鉄(さび)の発生を防ぐ。 この酸化クロムの膜で表面が保護されている状態を「不働態化」していると言う。

この酸化クロム膜は加工・切断などでキズついても、Cr (クロム)が 適量( 12% 以上)あれば空気中の酸素と結合してすぐに再生する。 ただし、この膜を再生するときにステンレス内部の Cr (クロム)の含有率は低くなっていく。



ステンレスは本当に磁石につかないのか?

SUS304 が一番代表的なステンレス鋼であるので、ステンレスは磁石につかないというイメージが一般的だが、SUS410 など磁石に付くものもある。
いくつか代表的な鋼種で例をあげると

マルテンサイト系
SUS410=13%Cr + 87%Fe      磁石につく

フェライト系
SUS430=18%Cr + 82%Fe      磁石につく

オーステナイト系
SUS304=18%Cr + 8%Ni + 74%Fe 磁石につかない

となる。
<参考>
Fe(鉄)  →磁性 大
Ni(ニッケル) →磁性 小
Cr(クロム)  →磁性 無

磁性の大きい Fe(鉄)の含有率が低くなるとステンレスは磁石に「つかなく」なる。 しかし、SUS304 でも条件次第で磁石についたり反応したりすることがある。 ステンレスを加工すると酸化クロム膜を再生するために Cr(クロム)が表面に出てしまい内部の含有率が低くる。 すると相対的に Fe(鉄)の含有率が高くなり、磁性が生じる。 この現象は加工度合の大きい箇所で部分的にもおこる。

例) ワッシャー(圧延加工・プレス加工)
   6角穴付き止めネジ(穴圧造加工・全身ねじ転造加工)

単重に対して加工度合が大きい商品は磁性を生じることがある。



「かじり(焼き付き)」

ステンレスのボルトやナットを電動機などで締め付けると、 ねじのはめ合い部で摩擦による熱が発生する。 その熱によってねじ部が膨張し、雄ねじと雌ねじが密着して動かなくなる状態を「かじり(焼き付き)」と言う。 トルク(回転力)によっては、ボルトが折れることもある。

ステンレスは、熱伝導率が低く( SUS304 …鉄の 1 / 3 魔法瓶、お鍋、お風呂などに使用)
熱膨張率が高い ( SUS304 …鉄の 1.5 倍) ため、
同じ程度の摩擦でも鉄よりも熱が発生しやすく、その熱による変形や歪みも大きくなる。

フッ素系樹脂(無色透明)を表面にコーティングするとねじ部の摩擦が小さくなり、かじり防止となる。



マルテンサイト系ステンレス

マルテンサイト系ステンレス(Cr系-13Cr)・・・・・・代表SUS410
この鋼種は焼入れによる硬化性が優れているので耐摩耗製品に多く使われている。 しかし、磁性があることが示す通り耐食性が他の鋼種に比べ劣っている。 近年、ベーキング処理・パシペート処理・スズめっき等、表面処理を施して用途に応じた対応が出来るようになってはきたが、取り扱いや使用環境には注意が必要である。

用途 = ドリルビス・ボルト・刃物・ベアリング・ブレーキディスク・バルブ・など。



フェライト系ステンレス

フェライト系ステンレス( Cr 系 - 18Cr )・・・・・・代表例 SUS430
この鋼種は焼入れによる硬化はできない。 磁性があり、耐食性はマルテンサイト系よりは優れている。 ねじ等にも使われているが、熱の大きな変化に対しての繰り返しストレスに強いことから、特に熱を利用する機器での使用が多くなっている。

用途 = 熱交換器・温水漕・厨房機器・建築金物など。



オーステナイト系ステンレス

オーステナイト系ステンレス( Cr - Ni 系 - 18Cr - Ni )・・・・・・代表例 SUS304・XM7
この鋼種はステンレスの中でも高耐食性・耐薬品性・強靭性に優れ、非磁性であり、焼き入れ硬化はしないが加工硬化性が著しいので、ねじ部品の約 80% がオーステナイト系で作られている。 機械の恒久部品から、原子力発電で使われる冷却水のパイプまでその用途の多さと信頼性は抜群である。 錆びにくさを優先させるため、炭素は 0.08% 以下に抑えているので硬くはならない。 色はニッケルが入っているため若干薄金色がかっていて高級感がある。



析出硬化系ステンレス

析出硬化系ステンレス( Cr - Ni - CU 系)・・・・・・代表例 SUS630・SUS631
Cu や Al の添加で析出硬化特性を持たせた鋼種。 析出硬化とは、一般の炭素鋼の焼き入れとは違い、含まれる合金成分を析出させることによって硬くする「固溶化処理、溶体化処理」と呼ばれる処理を行う。 耐熱・耐食・高強度( 10T 相当)の要求される物に用いるが、性質は熱処理により選定できる。 またねじ製品では、各メーカーとも標準品としての販売はまだ行っていない。



「SUS303」

SUS303 とは、切削加工用のステンレス鋼。 ステンレスは硬く熱がこもりやすい上、熱膨張しやすくねばりがあり、切削加工しにくい材料である。 SUS304 の切削性を改善するために、P (リン)と S (イオウ)を添加したのが快削鋼 SUS303 である。 おなじ快削鋼の SUS416 はマルテンサイト系で熱処理が可能である。

用途 = 切削加工品。



「SUS304」

最も代表的なステンレス鋼。
オーステナイト系で、18% の Cr と 8% の Ni が主要成分である。 「18 - 8 ステンレス」とも呼ばれる。 耐食性が優れていて、機械的性質も良好であり、家庭用品から工業用品まで広く利用されている。 冷間加工によって硬化し、磁性が発生する場合もある。

    SUS304 =Cr18% + Ni 8%



「SUSXM7」

SUS304 を加工しやすくしたステンレス鋼が SUSXM7 である。
SUS304 の短所は冷間加工性がよくないことであり、加工によって硬化し「割れ」や「欠け」が発生することもある。 また金型や工具の寿命も短くコスト高になる為、柔らかい金属の Cu (銅)を添加して加工硬化性を抑えて冷間加工しやすくしたステンレス鋼が SUSXM7 である。 耐食性や強度は SUS304 と同等。 現在 SUS304 はヘッダー材としてはほとんど使用されていない。

   SUS304 =Cr18% + Ni 8%
   SUSXM7=Cr18% + Ni 9%+ Cu3% 

ステンレスの鋼種名は、SUS304 や SUS410 などのように SUS の後に 3 桁の数字が記される。 SUSXM7 のような鋼種名は 独特だが JIS 規格にも認定された鋼種である。

XM7 というのは開発中のナンバー名で、その性能がとても優れていたため通称“XM7”で市場に広く知られていた。 後に JIS に認定されるとき( 1977 年)には、XM7 という名が浸透 していたので、そのまま「 SUSXM7 」が採用された。



「SUS304N1」

オーステナイト系 304 に N を添加し、金属の延性(金属材料を線や棒の様に細く、長く引き延ばす事の出来る性質)の低下を抑えながら強度を高め、材料の厚さ減少の効果を持たせた鋼種である。

用途 = スプリングワッシャー等。



「SUS304J3」

オーステナイト系で 304 に Cu を添加し、SUS304 と SUSXM7 との中間成分で冷間加工性と非磁性を改善し、コストダウンを図った鋼種。 磁性微弱あり。

用途 = ボルト(冷間)。



「SUS305JI」

オーステナイト系で 305 の低炭素で、Cr と Ni の量を調整し加工硬化性(金属材料を冷間加工すると強くなり、展延性である線や棒の様に細く、長く引き延ばしたり、板や箔の様に薄く圧延する性質が減少する事)を向上させた改良鋼。 磁性微弱あり。

用途 = タッピンねじ、冷間蝶ナット。



「SUS310S」

オーステナイト系で耐食性は 304 より優れ、耐酸化性も 309S より優れているが、 実際は耐熱鋼として使われることが多いようである。 磁性なし。

用途 = ボルト(熱間)、ナット(切削)、平ワッシャー。



「SUS316」

耐食性の良いオーステナイト系ステンレス鋼のなかでも 特に、耐食性の良いステンレス鋼。

SUS316 は、SUS304 に耐食性のよい Mo (モリブデン)を 添加したもので、Ni の増量によっても耐食性をより良くしている。 化学薬品用にも使用される。

  SUS316 = Cr18% + Ni12% + Mo 2%
  SUS304 = Cr18% + Ni 8%

用途 = ボルト(冷間)、キャップボルト(皿・ホーロー)、Uボルト、小ねじ、ナット、ばねワッシャー、平ワッシャー。



「SUS316L」

SUS316 を加工しやすくしたステンレス鋼が SUS316L である。 SUS316 は硬い金属( Cr 、Ni )が多く含まれていて、 かなり加工しにくいステンレス鋼であるので、 SUS316L は炭素の量を低くすることで少し柔らかく、加工しやすくされている。

    「 L 」はローカーボンを表します。

SUS316  = Cr18%+Ni12%+Mo2%+C(0.08%以下)
SUS316L = Cr18%+Ni12%+Mo2%+C(0.03%以下)

SUS316とSUS316Lの大きな違いはC(炭素)の含有量だが
SUS316Lの「0.03%以下」というのは
SUS316 の「0.08%以下」に含まれる。

ネジやボルトなどで 316 の注文に対して、316L を納品することは問題ない。

用途 = ボルト(熱間)、小ねじ、ナット(切削)袋・蝶・U・ハードロックナット、平ワッシャー、舌付W。



「SUS403」

マルテンサイト系で熱処理後の靭性(材料の粘り強さ)を改良した耐熱鋼で、 Ni を含む Cr 鋼であり、410、430 より耐食性が向上している。 磁性あり。

用途 = ナット(切削)(熱間)・ボルト(熱間)



「SUS410」

熱処理するためのステンレス鋼。
マルテンサイト系で鉄が約 87% と多く、その中に含まれる C (炭素) も多いので熱処理が出来る。 セルフドリリングスクリューやタッピンネジに使用される。

一般の熱処理では、ステンレス鋼の場合 Cr (クロム)が炭化して 黒くもろくなってしまう。 その為、ステンレス鋼には「窒化熱処理」を行う。

用途=ドリルネジ・タッピンねじ・Sタイト・コーススレット・軽天ビス



「SUS430」

フェライト系ステンレスの代表的鋼種。 特徴として冷間加工が容易で、加工硬化もほとんどなく、熱処理して急冷しても硬化せず、耐食性も優れている。 木ねじ・建築内装用・家庭用品・自動車部品等に使用されている。 磁性あり。

用途 = 小ねじ、木ねじ、切削ナット、中空リベット



「SUS416」

この鋼種はマルテンサイト系ステンレス鋼で 13 Cr - 0.1C - 高S が主成分で、被削性がステンレス鋼中最良の鋼種であり、高 S 快削ステンレス鋼としては(冷間加工されたものは)もっとも削りやすいが、焼なまし状態であると延性が大きくなって、削りにくくなる。

用途 = 自動盤用等に使用



「SUS420J2」

この鋼種はマルテンサイト系ステンレス鋼で成分 13Cr - 0.3C を含み、SUS420J1 より焼入れ後の硬さが高い鋼種。 被削性は冷間加工されたものは削り易いが、焼なまし状態であると延性が大きくなって、削りにくくなる。

用途 = 刃物、ノズル、弁座、バルブ、直尺



「SUS420F」

この鋼種はマルテンサイト系ステンレス鋼で成分 13Cr - 0.3C - 高S を含み、SUS420J2 の被削性改良品で、冷間加工されたものはもっとも削り易いが、焼なまし状態のものは延性が大きく削りにくい。

用途 = 刃物、ノズル、弁座、バルブ、直尺



「SUS631」

析出硬化系ステンレスで Al の添加で析出硬化性を持たせた鋼種で耐熱・耐食・高強度等優れている。

用途 = スプリング、ワッシャー等に使用されているが、ねじ製品として一般的向けには未だ各メーカーとも標準品としての販売はしていない。



「SUM24L」

炭素鋼の被削性を向上させる為に硫黄を添加してつくられた快削鋼材である。 同一炭素量の炭素鋼に比較して強靱さが劣る為、応力の集中しやすい形状をもった部品への使用には不向き。 被削材名の末尾に「 L 」のついたものは、鉛を含み被削性は非常に良好となる。 被削性を工具寿命のみに着目して表わすアメリカでの一方法として、被削性指数(被削率)の基準となる鋼材である。

用途 = 強靱さをあまり必要としない機械部品に広く使用される。




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